桑講義②八王子生まれの桑「創輝」とは?【教えて!久米川先生】

B!
第2回目となる今回の桑講義も創価大学理工学部、准教授久米川先生に講師を務めていただきました。  
第二回桑講義テーマ
第二回のテーマは「八王子生まれの桑"創輝"について」です。
東京都八王子市で誕生したクワ品種「創輝」について、一緒に学んでいきましょう!

前回の講義(桑講義①)のおさらいをしよう!

前回の講義では、「桑」という植物について具体的に次の3点をお話していただきました。
  1. 桑はイチジクと親戚である
  2. 桑にはオスの木とメスの木がある
  3. 古くから薬として使われてきた
詳しくは、下記リンクより桑講義①の記事をご覧ください。

桑講義②八王子生まれの桑「創輝」とは?

久米川先生
皆さん、こんにちは。
久米川先生
私は、創価大学理工学部の久米川と申します。
久米川先生
今回の講義では、桑「創輝」について一緒に学んでいきたいと思いますのでよろしくお願いいたします 。

その1:創輝の開発には半世紀もかかった!?

桑「創輝」の特徴とは?

久米川先生
まず、桑「創輝」の特徴というのは、大きな葉っぱをつける新品種であるということです。
久米川先生
写真でもわかるように、桑「創輝」の葉は、従来品種の桑葉(写真右側)より約1.5倍も大きくなります。

桑「創輝」は3倍体雄品種

久米川先生
では、なぜこのように大きな葉っぱをつけるよう品種改良ができたのか?
久米川先生
それは、「倍数性植物」と呼ばれているものに起因しています。
「倍数性育種」とは?
倍数性育種」とは、人為的に染色体の数を増加させて、人類に有用な特徴を持つ品種を作出する手法のことをいいます。
久米川先生
始まりは、1956年になりますね。
久米川先生
長瀬(ながせ)」という2倍体の品種
久米川先生
これをメインに4倍体を作出しました。
久米川先生
この株は、オスの株だったんですよね。
久米川先生
ですので、メスの株である一ノ瀬(いちのせ)」というクワ品種と交雑することによって桑「創輝」が生まれたわけなんです。
久米川先生
桑「創輝」はオス株の3倍体になります。
久米川先生
ですので、実はつきません
久米川先生
その代わり、葉っぱが大きくなるという特徴を持ちます。

開発に50年以上の歳月が!

久米川先生
桑「創輝」は、交雑でできた桑の中から、より良い桑を選び、それを何代も何代も繰り返すことでやっと生まれた品種です。
久米川先生
創輝の開発をスタートしたのは「1956年」なので、誕生まで実に56年の歳月(2021年時点)がかかったことになります。
久米川先生
また、創輝は葉が大きくなるだけでなく、桑の葉独特のえぐみがなく栄養豊富な点も特徴として挙げられます。

その2:創輝は日本で唯一の○○桑!

久米川先生
創輝は、日本で唯一の食用桑葉品種という形で、2008年に新しく農林水産省へ品種登録されたものになります。
マルベリーちゃん
品種登録されているというのは、何がすごいんですか
久米川先生
それは、”他の品種と全然違って食用桑として農林水産省から認められた”ということが素晴らしいことだという風にして思います。

その3:桑は、栄養満点!

創輝は甘みに優れ、ミネラル分も豊富

久米川先生
では、次に「桑というのは、栄養満点である」ということを少しお話していきたいと思います。
久米川先生
まず創輝は、他の桑に比べて甘みが優れていて、ミネラル分も多いというのが特徴になります。

特に、カルシウムが豊富!

久米川先生
特にカルシウム」が多い
久米川先生
このグラフにあるように、牛乳の約30倍ものカルシウムを含んでいることになります。
マルベリーちゃん
どうして創輝は、こんなにカルシウムが豊富なんですか?
久米川先生
はい、いい質問ですね。
久米川先生
実は、桑には葉っぱの表面にカルシウムを蓄える特殊な細胞があるんですよね。
久米川先生
実は、これは他の植物には見られないんです。
久米川先生
このカルシウムを蓄える細胞のおかげで、桑は植物なのにこんなにも多くのカルシウムを含んでいることになるわけなんです。

創作秘話:なぜ「創輝」と命名されたのか?

久米川先生
創作秘話として「なぜ”創輝”と命名されたのか」というお話をしたいと思います。
久米川先生
桑というのは、「ソウ」とも呼びます。
久米川先生
ですから「創出」と「桑(ソウ)」をかけて「」の文字を、
久米川先生
その桑が、創造・創出の起点となって輝いてほしいという願いから「創輝」という名前が付けられました。

ここだけは押さえておきたい!今回の講座のポイント

今回の講義で押さえておきたいポイントは、次の3点です。
今回のポイント
  1. 桑「創輝」は、開発に半世紀かかった
  2. 農林水産省が認めた日本で唯一の食用桑葉品種であること
  3. カルシウムの含有量は牛乳の約30倍

次回の講義:桑のすごいパワーについて

次の講義では、栄養豊富なだけじゃない桑のすごいパワー」についてお話をしていただきます。
久米川先生
桑は栄養があるだけではないんですよ!
久米川先生
現代人の健康をサポートするチカラがあるんです。
久米川先生
こちらについては次の講義で詳しくご説明しますね。
久米川先生
それでは、また次の講義でお会いしましょう!

桑講座の講師:久米川准教授

桑講義を担当してくださっているのは、創価大学理工学部久米川宣一准教授です。
植物の育種学分子生物学などを専門とされる植物のエキスパートです。

動画を見る:【第二回】八王子生まれの桑「創輝」について知ろう!現役大学講師による桑講座

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