桑茶を飲むと悪酔いや二日酔いが軽減されるって本当?

  桑の葉には、アルコールの吸収を穏やかにして、悪酔いや二日酔いを軽減させる働きがあると言われています。 その働きについて、創価大学理工学部共生創造理工学科、准教授の久米川宣一 (クメカワ ノリカズ)先生が検証実験を行いました。 この実験から、アルコールを飲む前に創輝桑茶を飲んだラットにおいて、悪酔いや二日酔いの症状を軽くする働きについて効果を確認できました。   二日酔い以外にも色々な効果があります!

桑茶のアルコール吸収に与える影響

ラット実験内容

1.実験方法について

■(表1)エタノール投与前後に創輝桑茶を投与した実験

 

※ラットは10週齢

 

※エタノール投与量:ラットの体重100gあたり1mL、創輝桑茶投与量:ラットの体重100gあたり0.5mL

  実験では、10週齢(生まれてから10週)のオスのラット12匹を3つの群(表1)に分けています。 実験日の20時間前から絶食させて、胃の中に何も残っていない状態にしてから、高濃度のエタノール(アルコールの一種)を投与する前後にそれぞれ高濃度の創輝桑茶をラットに経口投与し、時間の経過に伴う血中濃度の変化を調べました。   a群のラットにはエタノールのみを与え、b群にはエタノールを与える30分前に創輝桑茶を与えています。また、c群のラットには、エタノールを与えた30分後に創輝桑茶を与えました。 エタノールを与えてから30分~300分の間に計7回採血を行い、血中エタノールおよびアセトアルデヒド濃度を測定キットにより吸光度測定にて定量しました。

2.ラットもお酒に酔うと判明

まず、ラットの酩酊状態について観察しました。 エタノールを投与してから30分後、ラットが千鳥足になり体を支えられずその場で座り込んだり、さらにエタノール投与から60分以降には、深い眠りに陥る様子が見られたりと、全てのラットに酩酊症状が表れました。 つまり、ラットもお酒を飲んで血中エタノール濃度が上昇すると人間と同じように酔うのです。

3.桑茶を飲酒前に飲んだラットに対し興味深い結果が!

また、アセトアルデヒドの血中濃度の変化にも興味深い結果が現れました。(図1)

エタノールを与えた後の経過時間(min)

 

図1 エタノール投与前後に創輝桑茶を飲ませた時の血中濃度の変化

 

■高濃度の創輝桑茶を与えた場合(30g/L創輝桑茶、50%エタノール溶液)

 

※*p<0.05、n=4

 

アセトアルデヒドは、肝臓でアルコールが分解された時に生まれる毒性のある物質で、悪酔いや二日酔いを引き起こす原因となる物質です。 このアセトアルデヒドの血中濃度が、創輝桑茶を飲む事でどのように推移するのか、図1の(B)(D)のグラフでその変化を詳しく見ていきましょう。

まず、創輝桑茶を与えていないa群青線)を見てみると、アセトアルデヒドの血中濃度が長時間あまり下がることなく推移しています。 このように時間がたってもアセトアルデヒドが分解されず体内に残ってしまうと、頭痛や吐き気といったいわゆる悪酔いや二日酔い症状を引き起こします。

それに比べて(D)のグラフを見ると、エタノールを投与する30分前に創輝桑茶を与えたb群赤線)では、60分、120分、180分、240分経過時の計4回にわたりアセトアルデヒドの血中濃度が他の2群に比べて低く推移していることがわかります。

実験を通して分かったこと

この実験を通し、創輝桑茶を飲酒前に摂取すると血中のアセトアルデヒド濃度を低く抑えることができ、悪酔いや二日酔いの症状を軽減させる効果が期待できると確認できました。

しかしながら、今回の実験はラットを用いて行われており、そのため、必ずしも人間の身体で同じ効果が表れると確証したわけではありません。この点に関しては、今後の研究に期待が高まります。

実験内容を動画で見る

【この記事の監修】
久米川 宣一(クメカワ ノリカズ)   創価大学 理工学部共生創造理工学科 准教授。 大阪府出身。1995年創価大学工学部生物工学科卒業、2000年東京大学農学生命科学研究科応用生命工学専攻修了。 博士(農学)。(財)かずさDNA研究所特別研究員、創価大学工学部環境共生工学科講師を経て、2020年より現職。 育種学を専門とし、桑植物を対象とした育種や農業用ヘテロコア型光ファイバセンサに関する研究を行っている。
 
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